Maor Shlomo(マオール・シュロモ)は、Base44をローンチ6ヶ月でARR $3.5Mに成長させた。
ARR350万ドル。ユーザー40万人。従業員ゼロ。マーケティング予算ゼロ。
テルアビブのオフィスビル。CEOとしてのスケジュールが、カレンダーの隅々まで埋まっていた頃の話だ。
なぜ彼は、すでに成功していた場所を去ったのか。
Maor Shlomo(マオール・シュロモ)には、すでにキャリアがあった。イスラエル国防軍の精鋭情報部隊Unit 8200出身。データ分析スタートアップExploriumを共同創業し、$127M(約190億円)を調達した。Forbes 30 Under 30に選ばれた。履歴書としては、もう十分だった。
しかしシュロモは辞めた。
「I didn't enjoy managing sales and HR as a CEO. I loved building products.」(CEOとして営業やHRを管理するのが好きじゃなかった。プロダクトを作るのが好きだった)(CEO Insider インタビュー)
好きなことだけをやる。言葉にすると簡単だが、$127Mを調達した会社を離れるのは簡単ではない。投資家がいる。共同創業者がいる。期待がある。それでもシュロモは、自分がプロダクトを作る人間であって、組織を管理する人間ではないことを知っていた。
そして2023年10月7日、ハマスによる攻撃が起きた。
シュロモはUnit 8200の予備役として召集された。そこから約1年間の従軍が始まった。コードを書く時間は消えた。日常も消えた。ただ任務だけがあった。
2024年後半、シュロモは除隊した。Exploriumには戻らなかった。長い軍務の中で、1つだけはっきりしたことがあった。次にやるなら、自分の手でプロダクトを作る。それだけだった。
タイ・コパンガン島。ヤシの木の下に吊るされたハンモック。夜風の中でノートPCを開いた。画面の光だけが顔を照らしている。
除隊後、シュロモはパートナーのYuval Dahan(ユヴァル・ダハン)とタイ、フィリピンへ2ヶ月間の旅に出た。リセットの時間だった。だが、コードを書く人間の頭は完全には休まない。
きっかけは、ダハンのウェブサイトだった。彼女はタトゥーアーティストで、作品を見せるサイトと顧客管理システムが必要だった。既存のサイトビルダーは面倒だった。モバイルのデザイン、データ管理、リード獲得。どれも中途半端だった。
もう1つの伏線があった。イスラエルのスカウト組織。シュロモはボランティアとして関わっていた。彼らには常にバックオフィスシステムが必要だったが、制作会社の見積もりは法外だった。既存のローコードツールはJavaScriptの知識を要求した。スカウト組織の